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魚忠総務企画室佐藤 名古屋の老舗魚屋・寿司屋『魚忠』に勤務 お魚に興味を持つ情報を発信していきます。 魚を食べよう!

釧路港に約3年ぶりの流し網サンマ初水揚げ

はじめに 2025年7月10日早朝、北海道・釧路港においておよそ3年ぶりとなる流し網サンマ漁の初水揚げが行われました。漁獲量は約170〜175kg(推定1,300匹)と決して多くはありませんが、1尾175g前後の大ぶりな魚体がそろい、初競りではキロあたり25万円という過去最高値の“ご祝儀価格”を記録。地元鮮魚店では1匹5万円で並び、わずか20分で完売しました。FNNプライムオンラインUHB:北海道文化放送この出来事は長引く不漁と価格高騰に悩むサンマ業界にとって、久々の明るい話題となり、かつて“サンマの街” ...

「ウナギ高騰に終止符?完全養殖で安定供給の夜明け」

はじめに ウナギの価格高騰はここ十数年、土用の丑の日のみならず私たちの日常食卓からもウナギを遠ざけてきました。国際的な資源減少を背景に、ニホンウナギは2014年に絶滅危惧種(IUCN レッドリスト)へ指定。国内外の規制が強まる一方で、稚魚(シラスウナギ)確保に頼る従来型養殖は供給不安・違法取引・コスト高騰の要因となってきました。こうした行き詰まりを打開する鍵が「完全養殖」──人工ふ化から成魚まで人の手で循環させる閉鎖型生産モデルです。本稿では、これまで「夢物語」とさえ語られた完全養殖ウナギが実用化フェーズ ...

赤潮×温暖化に挑む!高温耐性サクラマス養殖へ(長崎・昌陽水産)の挑戦

はじめに 気候変動による海水温の上昇、そして赤潮の頻発――これらは今、海で魚を育てる「養殖業」に深刻な影響を及ぼしています。特に九州や西日本の沿岸地域では、かつてないほどの被害が相次いでおり、従来の魚種だけでは持続可能な養殖経営が難しくなりつつあります。 こうした中、長崎県の昌陽水産が新たに導入を進めているのが、「高温・赤潮耐性」を持つサクラマスの養殖です。この取り組みは、ただの新魚種導入ではなく、気候変動に対応する“次世代型養殖モデル”として注目されています。 本記事では、気候変動が水産養殖に与える影響 ...

勝浦沖キンメダイ漁、イルカ被害に苦慮–“シャチ尿”散布で対抗なるか?

はじめに 千葉県・勝浦沖で行われているキンメダイ漁。深海にすむ高級魚として知られるキンメダイは、関東をはじめ全国の食卓や寿司店で重宝される魚です。しかし近年、この伝統的な漁がかつてない“相手”に悩まされています。その相手とは――イルカです。 獲れたキンメダイを網から直接奪い取ったり、網を破って逃してしまったりといった被害が後を絶ちません。こうした状況に苦慮した地元漁師たちが、いま注目しているのが“シャチの尿”という、まさに異例とも言える対策法です。 本記事では、勝浦沖のキンメダイ漁の実態と、イルカ被害の深 ...

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UFB × ウニ養殖で藻場回復へ!海洋修復の最前線を探る

はじめに 海の中の“森”と呼ばれる「藻場(もば)」は、海洋生物のすみかであり、二酸化炭素を吸収して地球環境を守る重要な存在です。しかし、近年全国各地でその藻場が激減する「磯焼け」現象が深刻化しています。その主な原因とされるのが、ウニなどの食害と、海水環境の悪化です。 こうした中、今注目されているのがUFB(ウルトラファインバブル)技術とウニ養殖を掛け合わせた新たな藻場回復のアプローチです。本記事では、最先端技術と養殖の力を活用した海洋修復の取り組みに迫り、藻場再生の未来を一緒に考えていきます。 第1章:U ...

イカナゴ稚魚2,000匹放流!神戸が挑む“資源復興プロジェクト”の全貌

はじめに 瀬戸内海の春の風物詩として知られるイカナゴ漁。かつては神戸・播磨灘沿岸の港町で春の訪れを告げる風物詩として、多くの家庭で「くぎ煮」が炊かれ、地域の食文化として親しまれてきました。しかし、近年は資源量の激減により漁獲量は激減し、イカナゴ漁そのものが休漁となる年も珍しくなくなりました。 こうした中、神戸市が主導となり「イカナゴ稚魚2,000匹の放流プロジェクト」が始動しました。本記事では、イカナゴ資源の現状とこの復興プロジェクトの狙い、今後の展望について、専門的な視点からわかりやすく解説してまいりま ...

ホタテ“中国再開”に期待と不安 価格高もリスク懸念

はじめに 長らく続いた中国による日本産水産物の禁輸措置が一部緩和され、ホタテの輸出再開が注目を集めています。国内で滞留していたホタテ在庫の行き先が開けるという期待が高まる一方、漁業関係者の間には新たな不安も渦巻いています。価格高騰のリスク、中国依存の再燃、そして日本の水産業の今後――。本記事では、「中国再開」というニュースの裏側にある期待と懸念をわかりやすく解説してまいります。 第1章:なぜ今、中国向けホタテ輸出が再開されたのか? ■ 中国による輸入停止措置の経緯 2023年8月、日本の東京電力福島第一原 ...

1956年以来の危機—日本の水産業が直面する課題と解決策

はじめに 日本は四方を海に囲まれ、豊かな漁場に恵まれた“魚の国”として、長年にわたり世界有数の漁業国としての地位を築いてきました。しかし現在、日本の水産業はかつてないほどの深刻な危機に直面しています。1956年以降、漁業者数や漁獲量は減少の一途をたどり、その減少幅と速度は戦後最大規模とも言われています。 漁師の高齢化、魚価の低迷、海洋環境の変化、そして世界的な食料安全保障の緊張――そのすべてが今、日本の漁業を追い詰めています。 本記事では、なぜ今「1956年以来の危機」と言われるのかを明らかにし、日本の水 ...

“イカの町”に異変!函館スルメイカ不漁の真相

はじめに 北海道・函館――「イカの町」として名高く、透き通ったスルメイカの刺身はこの街を代表する味覚として知られてきました。しかし今、そんな函館に異変が起きています。港にイカの姿が見えない。漁獲量が年々減少し、ついには「不漁」という言葉が定着するまでに。この異変は、地元漁業者や観光業者だけでなく、全国の食卓にも静かな波紋を広げています。 本記事では、函館のスルメイカに何が起きているのか。その背景にある海の変化、国際事情、そして私たちの食文化への影響を探ります。 第1章:函館=イカの町、なぜそう呼ばれるよう ...

魚の名前に隠された秘密10選!なぜ“タチウオ”は立って泳ぐ?

はじめに 魚の名前には、見た目や生態、歴史や地名など、さまざまな由来が隠されています。私たちが何気なく呼んでいるその魚の名前、実はとても奥深い意味を持っているかもしれません。例えば「タチウオ」は、本当に“立って泳ぐ”のか?「アイナメ」には“愛”が込められている?――そんな疑問をひもとくと、魚の世界がもっと身近に、もっと楽しく見えてくるはずです。 本記事では、知っているようで知らない“魚の名前の由来”に迫り、その秘密を5種ピックアップしてご紹介します。 第1章:タチウオ――名前の通り立って泳ぐ? ●「タチウ ...

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