魚豆知識

魚は痛みを感じるのか?意外と知らない魚の感覚の世界

もくじ

はじめに 〜魚は痛みを感じるのか?〜

釣りをするときや、生きた魚をさばくとき、「魚は痛みを感じているのだろうか?」と考えたことはありませんか?

私たち人間や哺乳類は、ケガをすると痛みを感じますが、魚にも同じような感覚があるのかどうかは、科学的に長年議論されてきたテーマ です。

魚には神経があるが、痛みを感じるのか?
釣り針が刺さっても暴れるのは痛いから?それとも反射?
最新の研究では、魚の感覚や意識についてどこまでわかっているのか?

本記事では、魚の神経や脳の仕組みを解説し、痛みや記憶に関する最新の研究を紹介 します。
「魚の世界」を知ることで、魚への理解が深まり、より興味を持って接することができるかもしれません!

第1章 魚の神経と脳の仕組み

魚が痛みを感じるかどうかを理解するためには、魚の脳や神経の構造 を知ることが重要です。哺乳類と比べると単純な構造ですが、魚にも痛みを感じるために必要な「侵害受容体」や神経系が備わっている ことがわかっています。

本章では、魚の脳の発達度や痛みを感じるメカニズム、哺乳類との違いについて詳しく解説します。


1-1. 魚の脳はどのくらい発達しているのか?

魚の脳は、哺乳類や鳥類と比べると構造がシンプル で、小さいのが特徴です。しかし、種類によっては高度な行動をする魚もおり、単純に「脳が小さい=知能が低い」とは言えません。

魚の脳の特徴

全体的に小さく、脳の重量は体重の0.02〜0.3%程度(哺乳類は約2%)
大脳は発達が不十分で、主に感覚処理や本能的な行動を担う
小脳は比較的発達しており、泳ぎのコントロールや学習に関与する

結論:魚の脳は単純な構造だが、生存に必要な機能は十分備えている!


1-2. 痛みを感じるために必要な「侵害受容体」とは?

生き物が痛みを感じるためには、「侵害受容体(しんがいじゅようたい)」と呼ばれる特別な神経が必要です。

侵害受容体とは?

痛みを引き起こす刺激(高温、強い圧力、化学物質)を感知する神経細胞
人間や哺乳類には多く存在し、怪我や火傷の痛みを感じるのに重要な役割を持つ

では、魚にもこの侵害受容体はあるのでしょうか?

答え:魚にも侵害受容体がある!
2003年、イギリスの研究チームはマスの頭部や口周辺に侵害受容体が存在する ことを発見しました。このことから、魚も「痛みを感知する能力」を持っていることがわかりました。

しかし、これは「痛みを認識している」ことを意味するわけではありません。


1-3. 哺乳類と魚の神経系の違い

魚には侵害受容体があるものの、哺乳類とは痛みの感じ方が大きく異なる 可能性があると考えられています。

① 魚の神経は単純な構造

哺乳類の神経は高度な痛みの伝達システムを持つが、魚は単純な構造
痛みを脳で処理する部分(大脳皮質)が魚にはほぼ存在しない
反射的な行動が多く、痛みを「意識的に感じる」ことができない可能性

② 魚の痛みの伝達スピードが遅い

哺乳類の神経は「ミエリン鞘(しょう)」に覆われ、高速で痛みを伝える
魚の神経にはミエリン鞘が少なく、痛みを感じるスピードが遅い

③ 魚は「痛み」ではなく「ストレス」に反応する?

魚は痛みを感知すると、泳ぎが鈍くなったり、えら呼吸が速くなる
しかし、これは「痛い」という感覚ではなく、ストレス反応の可能性

結論:魚は痛みを感知できるが、人間のように「痛い」と認識しているわけではない可能性が高い!


まとめ

魚の脳は小さくシンプルだが、生存に必要な機能は十分ある!
魚にも侵害受容体があり、痛みの刺激を感知することができる!
ただし、哺乳類のように「痛みを意識的に認識する」能力は低いと考えられる!

魚の神経や脳の仕組みを理解すると、魚の行動や反応の理由 が少しずつ見えてきます。

次の章では、「釣り針が刺さった魚は痛がっているのか?」 について詳しく解説していきます!

第2章 釣り針が刺さった魚は痛がっているのか?

釣りをしたことがある人なら、魚が針にかかると暴れたり、ジャンプしたりする様子を見たことがあるでしょう。

「魚は針が刺さって痛いから暴れているの?」
「それとも、単なる反射的な動きなの?」

魚が釣り針にかかるとどのように感じるのか、科学的な研究をもとに解説していきます。


2-1. 魚が釣り針にかかると暴れる理由

釣り針が魚の口に刺さったとき、魚が暴れるのは痛みのせいなのでしょうか?

① 物理的な刺激への反応

✔ 針が口に刺さることで、魚の神経が刺激を受ける
✔ 侵害受容体(痛みを感知する神経)が反応し、体が動く

結論:「何か異変が起きた」と感知し、反射的に動いている可能性が高い!

② 本能的な「逃避行動」

✔ 魚は捕食者に狙われると、瞬時に逃げようとする本能がある
✔ 釣り糸の引っ張る力が、魚にとって「何かに捕まった」という感覚を生む
✔ そのため、本能的に暴れることで逃げようとする

結論:「捕まった!」という感覚が、暴れる行動を引き起こしている!

③ 針が刺さった部分に痛覚が少ない?

✔ 魚の口は、皮膚が厚く、神経が少ない部位が多い
✔ そのため、人間が指を針で刺されたときのような強い痛みを感じにくい

結論:針が口に刺さること自体の「痛み」は、人間ほど強くない可能性が高い!


2-2. 反射か痛みか?科学者による研究結果

「魚は痛みを感じるのか?」については、世界中の科学者が研究を行っています。

① 口に酢酸を塗る実験(イギリスの研究)

2003年、イギリスの研究チームがマスに酢酸(酸性の刺激物) を塗る実験を行いました。

✔ 酢酸を塗った魚は、口をこすりつけたり、落ち着かない様子を見せた
✔ これは「痛みを感じている証拠ではないか?」と議論された

しかし…

✔ 魚にモルヒネ(痛みを抑える薬)を与えても、行動はあまり変わらなかった
✔ これは「痛みではなく、ストレスや違和感への反応ではないか?」という反論が出た

結論:魚の行動が「痛み」なのか「ストレス」なのか、明確には区別できない!

② 針を刺された魚の脳波を測る実験(アメリカの研究)

アメリカの科学者たちは、魚に小さな針を刺し、そのときの脳の活動(脳波) を測定しました。

✔ 魚の脳波は、人間や哺乳類が痛みを感じたときのパターンとは異なっていた
✔ 反応はあったが、痛みを処理する脳の部位(大脳皮質)が発達していないため、「痛み」として認識していない可能性がある

結論:「魚は刺激を受けるが、それを痛みとして認識していない可能性が高い!」


2-3. 魚にとってストレスとは何か?

「魚は痛みを感じるのではなく、ストレスを受けているのでは?」という考え方もあります。

① ストレスを受けたときの魚の反応

✔ 釣られた魚は「コルチゾール(ストレスホルモン)」の分泌が増える
✔ 体が硬直し、呼吸が速くなる(エラの動きが早まる)
✔ これは「逃げなければならない!」という生存本能が働いている証拠

結論:魚は釣り針による「痛み」よりも、「捕まったことへのストレス」が強い!

② ストレスを軽減する釣りの方法

✔ キャッチ&リリースする場合は、できるだけ魚を水から出さない
✔ 針を外すときは、バーブレスフック(カエシのない針)を使うと負担が減る
✔ 魚を持つときは、素手ではなく濡れた手袋やネットを使い、体表の粘膜を傷つけない

結論:魚のストレスを減らす工夫をすることで、できるだけ負担を軽減できる!


まとめ

釣り針が刺さった魚が暴れるのは、「痛み」ではなく「捕まったストレス」の可能性が高い!
魚の口には神経が少なく、人間ほど強い痛みは感じていないと考えられる!
科学的な研究では、魚が痛みを感じる明確な証拠はまだ見つかっていない!
釣りをする際は、魚にストレスを与えすぎない方法を意識するとよい!

魚の行動や感覚を知ることで、釣りの楽しみ方や魚との向き合い方も変わるかもしれません。

次の章では、「魚は記憶や学習ができるのか?」 について詳しく解説していきます!

第3章 魚は記憶や学習ができるのか?

「魚は3秒で物事を忘れる」
「魚は単純な生き物だから、学習できない」

こんな話を聞いたことがあるかもしれません。

しかし、実際には魚にも記憶力があり、学習する能力を持つことが科学的に証明されています。 迷路を解いたり、特定の条件を覚えたりする魚もいるのです。

本章では、魚の記憶力や学習能力、さらには魚同士のコミュニケーションについて詳しく解説します。


3-1. 「3秒で忘れる」は本当か?魚の記憶力

「魚の記憶は3秒しかもたない」という話は、科学的に証明されたものではありません。実際の研究では、魚は数日〜数カ月単位で記憶を保持できる ことがわかっています。

① エサの時間を覚える金魚(オーストラリアの研究)

✔ 金魚を毎日決まった時間にエサを与える実験を行った
✔ 2週間後、エサの時間になると金魚が集まり始めた
✔ 数週間後でも、エサの時間を覚えていることが確認された

結論:「魚は3秒どころか、数週間以上の記憶を保持できる!」

② 罠を学習するサンゴ礁の魚(イスラエルの研究)

✔ サンゴ礁に住む魚を罠にかけ、一定時間後に解放する実験を実施
✔ 1度捕まった魚は、次回罠を避ける行動をとるようになった
✔ 1年以上経過しても、魚は罠を覚えていた

結論:「魚は学習し、危険を回避する能力を持つ!」


3-2. 学習する魚?迷路をクリアする知能を持つ魚たち

魚には、「道を覚える能力」や「試行錯誤して学習する能力」があります。

① 迷路を解くナマズ(アメリカの研究)

✔ 迷路の出口にエサを置き、ナマズにルートを覚えさせる実験を実施
✔ 数回の試行で、ナマズは正しいルートを選ぶようになった
✔ 一度覚えたルートは1カ月以上忘れなかった

結論:「魚には空間認識能力があり、道を記憶することができる!」

② 反射的ではない学習ができるグッピー(カナダの研究)

✔ グッピーに対して「光が点灯するとエサがもらえる」訓練を実施
✔ 数回の学習後、光がつくとエサの場所に集まるようになった
✔ これは単なる反射ではなく、条件を学習している証拠

結論:「魚は条件反射だけでなく、経験をもとに学習することができる!」


3-3. 魚同士のコミュニケーション能力とは?

魚は単独で行動することもありますが、多くの種類は群れを作り、仲間同士で情報を共有しながら行動する ことがわかっています。

① 群れで協力するサバやイワシ

✔ サバやイワシは群れを作り、捕食者から身を守る
✔ 群れの一部が動くと、全体が素早く連動して動く
✔ これは、魚同士が視覚や微細な水流を通じて情報を共有しているため

② クリーナーフィッシュの「社会的知能」

✔ クリーナーフィッシュ(ホンソメワケベラ)は、他の魚の体についた寄生虫を食べる
✔ 「クリーニングされる側」と「掃除する側」のコミュニケーションがある
✔ 不誠実なクリーナーフィッシュ(皮膚までかじる個体)は、次第に相手にされなくなる

結論:「魚同士には社会的なやりとりがあり、相手の行動を見て学習する能力がある!」


まとめ

「魚は3秒で忘れる」は誤解!実際には数週間〜1年以上記憶できる!
迷路をクリアしたり、エサの時間を覚えたりと、高い学習能力を持つ!
群れの魚は、仲間と協力しながら生きている!

魚にも意外なほどの知能と記憶力があることがわかりました。

次の章では、「魚の痛みと意識に関する最新の研究」 について詳しく解説します!

第4章 魚の痛みと意識に関する最新の研究

「魚は痛みを感じるのか?」というテーマは、科学者の間でも長年議論されている問題です。

魚には痛みを感じる神経(侵害受容体)がある
しかし、哺乳類のように「痛みを認識する脳の構造」は持たない
それでも、魚は痛みを避ける行動をとることが観察されている

では、最新の研究では「魚の痛み」についてどこまで明らかになっているのでしょうか?本章では、痛みの定義や魚の反応、意識の有無について科学的に解説 します。


4-1. 科学者の間で議論される「魚の痛み」の定義

痛みとは、単に「刺激を受けたこと」ではなく、その刺激を脳がどのように処理するか が関係しています。

① 「痛み」とは何か?

世界保健機関(WHO)では、痛みを以下のように定義しています。

「痛みとは、不快な感覚および情動的な体験である」

つまり、「痛み」を感じるためには、単なる神経の反応だけでなく、「不快だ」と認識する脳の働きが必要です。

② 魚は「不快な体験」として痛みを感じるのか?

魚には侵害受容体があり、刺激を感知することができる
しかし、哺乳類が痛みを処理する「大脳皮質」がほとんど発達していない
そのため、「痛い」と意識的に感じているかどうかは不明

結論:魚は「痛みを感知する神経」を持つが、それを「痛み」として認識しているかどうかは疑問が残る!


4-2. 実験で判明した「痛みを避ける行動」

科学者たちは、魚が痛みをどのように感じているのかを探るために、さまざまな実験を行っています。

① 酢酸を塗った実験(イギリスの研究)

2003年、イギリスの研究者は、マスの唇に酢酸(酸性の刺激物)を塗る という実験を行いました。

✔ 酢酸を塗られた魚は、口をこすりつけるような動きを見せた
✔ これは「痛みを感じているのでは?」という説を裏付ける証拠になった

しかし、これに対しては**「単なる反射ではないか?」** という反論もあります。

結論:「痛みを避ける行動」は見られるが、それを「痛みとして認識しているか」は未解明!

② 電気ショックを避ける実験(アメリカの研究)

アメリカの研究者は、魚を水槽内で訓練し、特定の場所で電気ショックを与える 実験を行いました。

✔ 何度かショックを受けると、魚はそのエリアを避けるようになった
✔ これは、「痛みを記憶し、それを避ける行動ができる」 ことを示している

結論:魚は痛みのある場所を学習し、避ける能力を持つ!


4-3. 魚に意識はあるのか?動物福祉の観点から

最近では、魚の意識や感情についても研究が進められています。

① 魚にも「感情」がある?

✔ 2019年の研究で、魚にも「快適・不快」といった感覚がある可能性が示唆された
✔ 例えば、ストレスを感じた魚は、特定のホルモンを分泌し、行動が変化する

② 魚の「意識」についての議論

✔ 魚には「自己認識」はないが、「環境を学習し、行動を変える能力」はある
✔ 魚の知能が一部の哺乳類(ネズミやウサギ)に匹敵するという研究も

結論:「自己意識」はないが、状況に応じて適応する知能は持っている!

③ 動物福祉の観点から

✔ EU(欧州連合)では、漁業における魚の扱いについて「動物福祉」を重視する動きがある
✔ 例えば、漁獲時のストレスを減らすために「氷締め」や「放血処理」が推奨されている

結論:科学的な証拠が完全には揃っていなくても、できるだけ魚に負担をかけない方法を考えるべき!


まとめ

魚には痛みを感知する神経があるが、それを「痛い」と認識しているかは不明!
魚は痛みや不快な刺激を避ける行動をとるが、単なる反射の可能性もある!
魚にも学習能力があり、ストレスを感じることが確認されている!
動物福祉の観点からも、できるだけ魚に負担をかけない扱いが求められている!

魚がどこまで「痛み」や「意識」を持っているのかは、まだ完全には解明されていません。しかし、魚が環境に適応し、学習する能力を持つことは確かです。

私たちが魚を扱うときも、「ただの生き物」ではなく、「環境に適応しながら生きる生物」として敬意を持つことが大切かもしれません。

次の章では、「魚の世界をもっと知ろう」 をテーマに、これまでの内容を振り返ります!

おわりに 〜魚の世界をもっと知ろう〜

「魚は痛みを感じるのか?」という疑問から始まり、魚の神経や脳の仕組み、学習能力、そして意識の有無について 最新の研究を交えながら解説してきました。

結論として、魚には痛みを感知する神経はあるが、それを人間のように「痛み」として認識しているかどうかは不明 です。しかし、魚は環境に適応し、学習し、時には社会的な行動をとることもわかっています。

魚は痛みを感知するが、「痛い」と意識しているかは不明
釣り針にかかった魚が暴れるのは、痛みではなくストレス反応の可能性が高い
「魚は3秒で忘れる」は誤解!数週間〜1年以上の記憶を保持できる
魚は環境を学習し、危険を回避する知能を持つ
動物福祉の観点からも、魚を扱う際にはできるだけ負担を減らす工夫が求められる

魚は、単なる「食材」ではなく、進化の過程で独自の知能や行動を持つ生き物 であることがわかります。

この知識を活かして、釣りをするとき、魚を調理するとき、水族館で魚を見るときなどに、魚の生態や行動をより深く楽しめるようになれば幸いです。


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最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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