
もくじ
はじめに
海の中でもっとも強い生き物の一つ、サメ。そのサメの口の中には、するどい歯がぎっしりとならんでいます。じつは、サメの歯はぬけてもまた新しい歯がはえてくる、とてもふしぎなしくみをもっているのです。
わたしたち人間は、子どものころに乳歯がぬけて、大人の歯にはえかわります。でも、大人の歯がぬけてしまったら、もう二度とはえてきません。ところがサメは、一生のうちに何千本も、何万本も歯をとりかえることができるのです。
どうしてサメの歯は何回もはえかわるのでしょうか。そして、そのしくみはサメにとってどんないいことがあるのでしょうか。この記事では、サメの歯のひみつをわかりやすくせつめいします。
第1章:サメの歯はどんな形をしているの?
サメの歯は何本あるの?
サメの口の中をのぞいてみると、たくさんの歯がならんでいます。サメの種類によってちがいますが、口の中に見えている歯だけで50本から300本くらいあります。
でも、これだけではありません。サメの歯は、何列にもならんでいるのです。口の前の方に見えている歯のうしろには、これからはえてくる「よび」の歯が2列から15列もかくれています。ぜんぶ合わせると、サメの口の中には3000本以上の歯があることもあるのです。
種類によってちがう歯のかたち
サメには500種類以上のなかまがいて、食べるものによって歯の形がちがいます。
ホホジロザメのような大きなサメは、三角形のするどい歯をもっています。この歯は、アザラシやイルカなどの大きなえものをかみちぎるのにぴったりです。歯のふちには、ナイフのようなギザギザがついていて、肉をかんたんに切ることができます。
ネコザメは、小さな貝やカニを食べるので、平らでかたい歯をもっています。この歯で、かたいからをくだいて食べるのです。
ジンベエザメは、世界でいちばん大きなサメですが、小さなプランクトンを食べます。だから歯はとても小さくて、えさをこしとるためのフィルターのような役わりをしています。
このように、サメの歯はそれぞれの生活にあった形をしているのです。
第2章:どうしてサメの歯は何回もはえかわるの?
歯がぬけてもだいじょうぶな理由
サメの歯は、とてもぬけやすくできています。歯ぐきにしっかりとくっついているのではなく、うすい皮ふでつながっているだけなのです。だから、かたいものをかんだり、えものとたたかったりすると、かんたんにぬけてしまいます。
人間だったら、歯がぬけたら大さわぎになりますよね。でも、サメにとって歯がぬけることは、まったくもんだいありません。なぜなら、ぬけた歯のかわりに、新しい歯がすぐにはえてくるからです。
サメは一生のうちに、2万本から5万本もの歯をとりかえると言われています。歯が1本ぬけても、だいたい1日から2週間くらいで新しい歯がはえてきます。このすばらしいしくみがあるから、サメはいつでもするどい歯をたもつことができるのです。
「ベルトコンベア」みたいな歯のしくみ
サメの歯のはえかわるしくみは、工場の「ベルトコンベア」にたとえられます。
サメの口の中では、いちばん前にある歯のうしろに、新しい歯が何列もならんでまっています。前の歯がぬけると、うしろの列にあった歯が前にすすんできて、ぬけた歯のかわりをするのです。そして、そのうしろにはまた新しい歯がつくられます。
この歯は、あごの骨の内がわで、つねに新しくつくられています。まるでベルトコンベアで商品が次々と運ばれてくるように、歯がどんどん前にすすんでくるのです。
歯をつくる「歯のもと」になる細ぼうは、サメが生きているかぎりずっとはたらきつづけます。だから、何回歯がぬけても、新しい歯がはえてくるのです。
第3章:歯がはえかわると、なにがすごいの?
えものをしっかり食べられる
サメにとって、するどい歯はとても大切です。サメは歯で食べものをかんでこまかくすることができません。だから、大きなえものをかみちぎって、のみこむひつようがあります。
もし歯がすりへったり、ぬけたりしたままだったら、えものをしっかりとつかまえることができなくなってしまいます。でも、歯が何回もはえかわるしくみがあるおかげで、サメはいつでもするどい歯をもつことができます。
古い歯やおれた歯は自然とぬけて、新しいするどい歯にかわります。だから、サメはいつでもベストな状態でかりをすることができるのです。これは、海の中で生きのびるために、とても大切なことなのです。
けがをしてもすぐに元どおり
サメは、大きなえものとたたかうとき、歯がおれたりぬけたりすることがよくあります。また、かたいサンゴや岩にぶつかって、歯をいためることもあります。
もし歯がはえかわらなかったら、けがをしたサメは食べものをとることができなくなり、生きていけなくなってしまうでしょう。でも、歯がすぐにはえかわるしくみがあるおかげで、サメはけがをしてもすぐに元どおりになります。
また、サメの歯は、ばい菌やよごれがつきやすい場所でもあります。古い歯をすてて新しい歯にかえることで、いつも清けつな状態をたもつことができるのです。
このように、歯がはえかわるしくみは、サメが海の中でずっと元気に生きていくために、なくてはならないものなのです。
おわりに
サメの歯が何回もはえかわるしくみは、自然がつくりだしたすばらしい発明です。ベルトコンベアのように次々と新しい歯がはえてくることで、サメはいつでもするどい歯をもち、えものをとらえることができます。
この歯のしくみは、サメが何億年も前から海の中で生きのびてきた理由の一つです。歯がすぐにはえかわることで、けがをしても、歯がおれても、サメは元気に生きつづけることができるのです。
サメのふしぎな歯のひみつを知ると、海の生き物たちのすごさがもっとわかってきますね。わたしたち人間も、サメの歯のしくみから学ぶことがたくさんあるかもしれません。科学者たちは、サメの歯を研究して、新しい医りょうぎじゅつや材料をつくるヒントにしようとしています。
サメの歯のひみつ、あなたもだれかにおしえてあげてくださいね。