
もくじ
はじめに
海水魚は常に塩分濃度の高い海の中で生きていますが、その身は塩辛くありません。一方で、川魚も淡水の中で育ちながら、塩抜きしなくても普通に食べることができます。
では、なぜ海の魚の身はしょっぱくならないのでしょうか?また、海水魚と淡水魚の体の仕組みにはどんな違いがあるのでしょうか?
実は、魚の体は周囲の水環境に適応するために、**特別な「浸透圧調節機能」**を持っています。この仕組みによって、海の魚は体内の塩分を適切に調整し、塩辛くならないようにしているのです。
本記事では、海水魚と淡水魚の体の違いや、浸透圧の仕組み、水族館での飼育方法など、魚と水の関係にまつわる不思議な雑学を詳しく解説していきます!
第1章:海水魚の身はなぜ塩辛くならないのか?

海水魚は、塩分濃度の高い海の中で生きているにもかかわらず、私たちが食べるときには塩辛くありません。一方で、淡水魚も川の水を飲んでいるはずなのに、水っぽくなりすぎることはありません。
これは、魚が周囲の環境に適応するために、浸透圧(しんとうあつ)を調整する仕組みを持っているからです。ここでは、海水魚と淡水魚の体の違いや、浸透圧の働きについて詳しく解説していきます。
1-1. 海水魚と淡水魚の大きな違い
海水魚の体は「塩を出す仕組み」を持っている
海水の塩分濃度は約3.5%と非常に高いため、海水魚がそのまま海の水を体に吸収してしまうと、体内の塩分が高くなりすぎてしまいます。そこで、海水魚は次のような仕組みを持っています。
✅ 海水魚の塩分調整の仕組み
- 海水を飲み、必要な水分だけを吸収する
- エラから余分な塩分を排出する(特別な「塩類細胞」が働く)
- 腎臓で水分をできるだけ再吸収し、濃い尿を排出する
このようにして、海水魚は塩分が体に溜まりすぎるのを防ぎながら、必要な水分を確保しているのです。そのため、海の水をたくさん飲んでいても、身が塩辛くならないのです。
淡水魚は「水を体外へ出す仕組み」が必要
一方、川や湖などの淡水に生息する魚は、周囲の水の塩分濃度が極めて低いため、逆に体内の塩分が失われ、水分が入りすぎてしまうという問題があります。
✅ 淡水魚の水分調整の仕組み
- 水をほとんど飲まない(体に水が入りすぎるのを防ぐ)
- エラや皮膚から塩分を積極的に吸収する
- 腎臓で水分を多く排出し、薄い尿を大量に出す
このように、淡水魚は水分が体に入りすぎないようにしながら、塩分を失わないよう調整しています。そのため、淡水魚の身は水っぽくなりすぎず、程よい食感を保つことができるのです。
1-2. 浸透圧の働きと魚の体の適応
浸透圧とは?海水と淡水の違いを理解しよう
「浸透圧(しんとうあつ)」とは、濃度の異なる2つの液体が、膜(細胞膜など)を通じて均一になろうとする力のことです。
✅ 海水と淡水の違い
- 海水魚の体液の塩分濃度は、海水より低い(海水:3.5% / 体液:1%)
- 淡水魚の体液の塩分濃度は、川の水より高い(淡水:0% / 体液:1%)
この差があるため、魚は環境に応じて体内の水分や塩分を調整する必要があります。
海水魚は塩分を体外へ、淡水魚は水分を体外へ
✅ 海水魚の体の仕組み
- 体内に水を取り込むために海水を飲む
- 余分な塩分をエラから排出し、濃い尿を出す
✅ 淡水魚の体の仕組み
- 水を飲まずに、エラや皮膚から塩分を吸収する
- 余分な水分を薄い尿としてたくさん排出する
このように、魚は浸透圧の影響を受けながらも、それぞれの環境に適応する独自の生存戦略を持っているのです。
まとめ
海水魚の身が塩辛くならない理由は、エラや腎臓を使って余分な塩分を体外へ排出しているからです。一方、淡水魚は水分を排出しながら塩分を取り込む仕組みを持っており、それぞれの環境に適応することでバランスを取っています。
✅ 海水魚は「塩を出す」仕組みを持つため、身が塩辛くならない
✅ 淡水魚は「水を出す」仕組みを持つため、水っぽくなりすぎない
✅ 浸透圧を利用して、魚は体内の塩分と水分を調整している
この仕組みを理解すると、海水魚と淡水魚の違いや、魚の体の不思議な適応能力がよくわかりますね!
次の章では、海水魚を淡水に入れたり、淡水魚を海水に入れたりするとどうなるのか?また、川と海を行き来する魚はどのように適応しているのか? について詳しく解説していきます!
第2章:魚は環境が変わるとどうなる?

海水魚と淡水魚は、それぞれの環境に適応するための仕組みを持っています。しかし、もし海水魚を淡水に入れたり、淡水魚を海水に入れたりすると、どうなってしまうのでしょうか?
また、サケやウナギのように、川と海を行き来できる魚がいるのはなぜなのでしょうか?ここでは、魚が水環境の変化にどう対応するのかを詳しく解説します。
2-1. 海水魚を淡水に入れるとどうなる?
海水魚を淡水に入れると、体の浸透圧調節機能が対応しきれず、次のような問題が起こります。
✅ 海水魚が淡水に入ると…
- 体内の塩分濃度が高いため、水がどんどん体に入り込む
- 細胞が水を吸収しすぎて膨張し、最悪の場合は破裂する
- 腎臓が過剰に働きすぎて機能不全を起こし、死に至る
つまり、海水魚を淡水に入れると、体が水浸しになり、膨張しすぎて生きていけなくなるのです。
💡 例外的に、短時間なら生きられる魚もいる!
一部の海水魚(カレイ、ヒラメ、スズキなど)は、ある程度の塩分変化に耐えることができます。ただし、長時間淡水に入れてしまうと、最終的には体が対応できなくなり、死んでしまいます。
2-2. 淡水魚を海水に入れるとどうなる?
反対に、淡水魚を海水に入れた場合、次のような問題が発生します。
✅ 淡水魚が海水に入ると…
- 体の塩分濃度が低いため、体内の水分がどんどん外に出てしまう
- 細胞が脱水状態になり、縮んでしまう
- 水分を補給できず、急激に衰弱して死んでしまう
つまり、淡水魚を海水に入れると、体内の水分が抜けて脱水症状を起こし、生きていけなくなるのです。
💡 短時間なら耐えられる魚もいる!
コイやナマズのような淡水魚の中には、塩分濃度の変化に比較的強いものもいます。これは、汽水域(海水と淡水が混ざる場所)に生息することがあるためです。ただし、完全な海水環境では長く生きられません。
2-3. 海と川を行き来できる魚の秘密
サケやウナギのように、海と川の両方を行き来できる魚がいます。これらの魚は、「遡河回遊魚(そかかいゆうぎょ)」や「降河回遊魚(こうかかいゆうぎょ)」と呼ばれ、特殊な体の仕組みを持っています。
✅ サケ(遡河回遊魚)の適応方法
- 普段は海で生活し、成長した後に産卵のため川へ戻る
- 川に入ると、エラの塩分排出機能をストップし、腎臓が活発に働く
✅ ウナギ(降河回遊魚)の適応方法
- 普段は川で生活し、産卵のために海へ向かう
- 海に入ると、エラで塩分を排出し、腎臓の働きを抑える
このように、環境の変化に応じて体の機能を切り替えることで、海と川の両方で生きられるのです。
💡 なぜ普通の魚はこの適応ができないのか?
サケやウナギは、遺伝的に塩分調整機能を「切り替えられる」特別な体を持っています。普通の海水魚や淡水魚は、この調整ができないため、水環境が変わると生存できなくなってしまうのです。
まとめ
✅ 海水魚を淡水に入れると…
- 体が水を吸収しすぎて膨張し、最悪の場合死んでしまう
✅ 淡水魚を海水に入れると…
- 体内の水分が抜けて脱水症状になり、生きられない
✅ サケやウナギは、体の機能を切り替えることで海と川を行き来できる
魚は、それぞれの環境に適した体の仕組みを持っており、急激な変化には対応できません。しかし、一部の魚は進化の過程で特別な能力を獲得し、海と川を自由に行き来できるようになったのです。
次の章では、水族館では海水魚や淡水魚をどのように管理しているのか?また、特殊な環境に生きる「汽水域」の魚について詳しく解説していきます!
第3章:水族館ではどうやって魚を飼育しているのか?

水族館では、海水魚・淡水魚をそれぞれ適した環境で飼育しています。しかし、自然の海や川とは違い、限られた水槽の中で魚を元気に保つためには、水質管理や環境の調整が欠かせません。
また、川と海の両方で生きられる「汽水域(きすいいき)」の魚たちは、特殊な環境で飼育する必要があります。ここでは、水族館での水の管理方法や、汽水魚の飼育の工夫について詳しく解説します。
3-1. 海水魚の水槽管理の仕組み
海水魚を水族館で飼育する場合、本物の海の水を使うことは少なく、多くの施設では「人工海水」を作って使用しています。
人工海水の作り方
海水には塩分だけでなく、カルシウムやマグネシウム、カリウムなど、さまざまなミネラルが含まれています。そのため、水族館では以下のような方法で人工海水を作ります。
✅ 人工海水の作り方
- 純水(塩分や不純物を除去した水)を用意する
- 専用の海水用塩(人工海水の素)を溶かして塩分濃度を調整
- pHや酸素濃度を適切に管理し、魚に適した水を維持
🔹 なぜ人工海水を使うのか?
- 本物の海水は、水質が一定でないため、管理が難しい
- 人工海水なら、常に最適な環境を作ることができる
また、海水魚は海の環境を再現するため、適度な水流や水温、酸素濃度を維持するためのシステムも整備されています。
✅ 海水魚の水槽管理のポイント
- 塩分濃度を一定に保つ(約3.5%)
- ろ過装置で水質を維持(アンモニアや老廃物を除去)
- 水温を一定(約25℃前後)に保つ
こうした管理を徹底することで、海の魚たちは水槽の中でも元気に生き続けることができるのです。
3-2. 特殊な環境に適応した魚たち
淡水魚と海水魚の違いについては前章で解説しましたが、実はその中間に位置する「汽水域(きすいいき)」という環境に生息する魚もいます。
「汽水域」とは?
汽水域とは、海水と淡水が混ざり合う場所のことを指します。代表的な例としては、河口(川と海の境目)やマングローブ林、干潟などがあります。
✅ 汽水域の特徴
- 塩分濃度が常に変化する(雨や潮の満ち引きによる影響)
- 魚にとっては厳しい環境だが、多様な生物が生息
汽水域に生息する魚は、塩分の変化に適応できる特殊な体の仕組みを持っており、海水魚や淡水魚とは異なる特徴があります。
汽水魚の代表例と水族館での飼育方法
✅ 代表的な汽水魚とその特徴
魚の名前 | 特徴 | 生息環境 |
---|---|---|
ボラ | 海・川どちらにも生息できる | 河口・沿岸 |
ハゼ | 塩分の変化に強い | 干潟・マングローブ |
スズキ | 成長に合わせて海と川を行き来する | 河口・海岸 |
アロワナ | 一部の種は汽水環境に適応 | 熱帯の河川 |
水族館では、汽水魚の飼育のために塩分濃度を調整できる特殊な水槽を用意し、徐々に環境に慣らす工夫をしています。
✅ 水族館での汽水魚の管理ポイント
- 塩分濃度を一定にせず、自然環境に近い変化をつける
- 水温や水質をこまめに調整し、魚がストレスを感じないようにする
- 汽水魚専用のエサ(海・川の両方に対応した栄養バランス)を用意する
まとめ
✅ 水族館では、海水魚のために人工海水を作り、適切な水質管理をしている
✅ 汽水魚は海水と淡水の両方に適応できるが、特別な環境が必要
✅ 塩分濃度を調整できる水槽で、自然に近い環境を再現することが大切
水族館では、魚が自然の環境と同じように暮らせるように、細かな水質調整を行いながら飼育していることがわかりますね。
次の章では、本記事の内容を振り返り、魚の体の驚くべき適応能力と、環境に合わせた生存戦略についてまとめます!
おわりに
海水魚が塩辛くならない理由から、魚の浸透圧調整の仕組み、そして水族館での飼育方法まで、魚と水の関係について詳しく解説してきました。
魚はそれぞれの環境に適応するために、驚くべき生存戦略を持っています。
✅ 海水魚は塩分を体外へ排出し、体内の塩分濃度を調整する
✅ 淡水魚は水分を積極的に排出し、塩分を吸収することでバランスをとる
✅ サケやウナギのように、海と川を行き来できる魚は、体の仕組みを切り替えられる
✅ 水族館では、人工海水や汽水環境を作り出し、魚が自然に近い状態で生きられるようにしている
普段、何気なく食べている魚も、こうした体の仕組みのおかげでそれぞれの環境で生き抜いています。次に魚を食べるときは、その魚がどんな水の中で暮らしていたのかを想像しながら味わってみるのも面白いかもしれません。
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