魚豆知識

養殖魚と天然魚って何が違うの?

養殖魚と天然魚の違い

養殖魚とは、稚魚のうちから養殖場で管理され、水質や水温、エサなどを調整しながら育てられた魚のことです。
一方、天然魚は自然界で生息し、捕獲されたものを指します。

この育ちの違いが、養殖魚と天然魚のそれぞれの特徴を作り出しています。
たとえば天然魚は自然界で育ったため筋肉が発達して身が引き締まっています。
天然魚は旬のときが一番脂が乗っています。
一方、養殖魚は一定の品質を保ち、個体差が少なく、旬の時期でなくても味が保証されます。
そのため、養殖魚は筋肉が緩んで脂肪が多い傾向にあるので、安定して脂の乗りが良い傾向にあります。
どちらが美味しいかは、時期や食べる人の好み、調理法によっても異なります。

また、栄養価についても、かつては天然魚が優れていましたが、最近は養殖魚も飼料のバランスを調整することで、栄養価をコントロールすることができるようになりました。さらに、養殖魚は育った環境や餌の成分が明らかであるため、安全性が高いという面もあります。

養殖の魚はなぜ安全なのか?

以前は、「養殖の魚は薬漬けにされているため危険だから食べない方が良い」と言われていましたが、今はそのようなことは過去のものになっています。また、「養殖は環境を壊すから食べない方が良い」という意見もありますが、現在は改善が進んでいます。

魚が薬漬けにされている?

魚が薬漬けにされているということから説明します。
かつては、養殖の魚は細菌症の治療に抗生物質が多用されていたため、「薬漬けにされている」という批判がありました。
しかし、現在は食の安全性への関心の高まりや、抗生物質が効かないウィルス病の問題により、魚の病気対策は「治療す」から「予防する」時代に変わりました。
その結果、抗生物質からワクチンへの移行が進んでいます。また、抗生物質の多用によって薬剤耐性菌が出現することが懸念されており、養殖業界ではより厳しい規制が求められています。

病気の予防は様々です。
まずは「ワクチン」は最も一般的です。
稚魚の一匹一匹に駐車や餌に混ぜて食べさて、免疫力をつけていきます。
他には海外から来る病原菌を持ち込まないように防疫を強化したり、病気に強い品種の育成や病原菌が発生しづらい環境を作る疾病対策も進んでいます。

養殖が環境を壊している?

以前までは「養殖は、環境を壊している」と言われていましたが、どのように改善されているのでしょうか?
先程の疾病対策で薬剤を使用しない方法が進んでいることと大きく関係があります。
薬剤を使わないことで海を汚しにくくなりました。

また、餌の改良が進んでいることも大きいです。
与えた餌は全部が魚たちに食べられるわけではありません。
一部が食べられずに海底に沈んだり、大量のフンとなって海を汚したりします。
これに対して、無駄な餌をやらないようにしたり、配合飼料を研究して食べ残しを減らす取り組みが進められています。
そして、養殖場を利用する関係者に漁業環境を良好な状態を維持する努力を求める「持続的養殖生産確保法」が1999年に制定されました。
まだまだ改善の途中ですが、以前に比べ対策が取られ、環境を守る努力をしています。
海を汚せば魚たちの病気に繋がり、養殖場も維持できなくなってしまいます。

養殖と天然どう見分ければいいの?

養殖と天然で同じ魚でも見た目が違ってきます。
その見分け方をお教えいたします。
魚の種類に違いますが、今回はタイをご紹介いたします。

ポイント① 身体の色味
天然の鯛の身体の色は白っぽいです。
逆に養殖の鯛の身体の色は少し黒っぽいです。
日光が影響しており、魚も日焼けをします。
天然の鯛は海の深場にいるので太陽が届きにくく、養殖場にいる鯛は割と浅瀬にいるため日光の影響を受けやすいです。

ポイント② ヒレ
天然の鯛は背びれと胸びれが鋭く、ピンとしています。
養殖の鯛はトゲトゲしていますが、少しひれ先が丸くなっています。
これは養殖場でたくさんの仲間の鯛たちと泳いでいるとひれが鯛同士で擦れて丸くなったのではないかと言われています。
天然の鯛は群れで泳がないのでひれが擦れないです。

ポイント③ 目の大きさ
天然の鯛は大きく、養殖の鯛は割と小さいです。
これは育つスピードが関わっていると言われています。
餌が豊富な養殖の鯛は身体の成長が早く、顔(目)よりも身体が大きくなります。
天然の鯛はじっくり成長していくため、顔と身体が同時に成長していきます。

ポイント④ 鼻の穴の数
天然の鯛は鼻の穴が4つ、養殖の鯛は2つです。(例外もあります)
魚の鼻の穴は4つあり、2つは水を吸う役割、もう2つは水を吐く役割をしています。
稚魚から成長する過程で2つの鼻の穴が別れて4つになるのですが、養殖の鯛はそのまま別れず2つのままになってしまう個体がいるそうです。
原因は不明で、すべての養殖の鯛が鼻の穴が2つというわけではありません。

まとめ

  • 天然の鯛は自然界で育ってきたため、身が引き締まっており旬の時期に脂が乗る
  • 養殖の鯛は安定した身の品質で脂が乗っていて、個体差があまりない。
  • 昔に比べ養殖場の環境や餌、薬の改良廃止、予防などで海の環境を守りながら養殖をしている
  • 養殖と天然は見た目で少し違うので、見た目で見分けることができる

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