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はじめに
魚の歯、と聞いて思い浮かぶのはどんな姿でしょうか?
ピラニアのような鋭い歯? それとも口をパクパクさせるだけの、歯のないイメージ?
実は魚の世界には、「見える歯」「見えない歯」「のどにある歯」まで、じつに多彩な歯のバリエーションが存在しています。
今回のブログでは、
- 魚の歯の位置や形の不思議
- 噛む魚・吸う魚の食べ方の違い
- 歯からわかる魚のくらしや性格
など、知られざる“魚の口の世界”を、やさしく、ちょっと面白くご紹介していきます!
第1章 魚の歯ってどこにあるの?口の中だけじゃない!

魚の歯と聞くと、多くの方が「ピラニアのように鋭い歯が口に並んでいる姿」を思い浮かべるかもしれません。
しかし、実際の魚の歯の世界はもっと複雑で多様性に富んでいます。
驚くことに、魚の歯は“口の中だけ”にあるとは限らないのです!
魚にも「前歯」「奥歯」がある
魚の口の構造は、種類によってさまざまですが、基本的には以下のような歯の配置が見られます:
- 顎(あご)に並んだ前歯状の歯
- 奥の方にある臼歯(きゅうし)のような歯
- さらには、なんとのどの奥、咽頭(いんとう)にも歯がある魚もいます!
たとえば、コイや金魚の仲間には咽頭歯(いんとうし)と呼ばれる歯があり、
これは「のどの奥で食べ物を砕くための専用の歯」です。
つまり、魚は食べ物を口でとらえ、のどでしっかり噛んでいるというわけですね。
歯が“見えない魚”にも、実はある
見た目で「歯がなさそう」と思われる魚でも、顕微鏡で見るとびっしりと小さな歯が並んでいることがあります。
たとえば:
- フグやハコフグ:歯がくっついて「くちばし」のようになっている
- アジやサバ:歯が非常に細かく、肉眼ではわかりにくい
- コイやフナ:口には歯がなく、のどにだけ歯がある(咽頭歯)
このように、歯の有無=見た目では判断できないのが魚の面白いところです。
なぜ「のどに歯」があるの?
咽頭歯は、主にエサをすり潰す・砕くために使われます。
植物を食べる草食魚や、貝・甲殻類などの硬いエサを食べる魚に多く見られます。
- コイやフナ → 水草や藻をのどでつぶして食べる
- イシダイやカワハギ → 貝の殻ごと噛み砕く
- ハゼやベラ → 小さな甲殻類をのどで砕く
この「のどで噛む」というしくみは、食べ方に合わせて進化した“第二の歯”ともいえます。
まさに“口の中の工房”!
魚の口の中には、「捕らえる」「すり潰す」「削る」といったさまざまな機能が備わっており、まるで“ミニ工房”のような働きをしています。
しかもそれが、種類ごとに必要に応じた形や場所に歯を進化させているのだから、驚きです。
次章では、そんな魚たちがどのように歯を使い分けて食事をしているのか、
「噛む魚」「吸う魚」「のどで砕く魚」の具体例を交えて詳しくご紹介していきます!
きっと、魚の“食べ方”を見る目が変わるはずです。
第2章 噛む魚・吸う魚・のどで砕く魚…食べ方で違う歯の形

魚は「パクパク食べる」というイメージがありますが、実際には食べ方に応じて、歯の形も配置も大きく異なります。
今回は、3つのタイプに分けて、代表的な魚とともに解説してまいります。
噛んで食べる「噛む魚」:前歯&臼歯がしっかり
肉食性や雑食性の魚には、“獲物をしっかりつかみ、噛み砕く”ための歯が発達しています。
代表例:
- ピラニア:鋭くギザギザした三角形の歯。カミソリのような切れ味で有名
- イシダイ:奥歯のような臼歯状の歯で、貝やカニの殻も砕く
- タイ類(マダイなど):前歯でエサをとらえ、奥歯でつぶす構造
これらの魚は、エサを“噛む”ことに特化した強いアゴと歯を持ち、
硬いものや動くものをしっかり押さえて処理することができます。
吸い込んで食べる「吸う魚」:歯は小さく目立たない
一方で、水ごとエサを一気に吸い込んで飲み込むスタイルの魚もいます。
このタイプの魚は、目立つ歯をあまり必要としないか、非常に小さな歯しか持たないことが多いです。
代表例:
- コイやフナ:口には歯がなく、のどの咽頭歯でエサをすり潰す
- ウナギ類:口は大きいが、歯は非常に小さく控えめ
- アジやサバ:獲物を丸ごと吸い込むため、歯は細かく、補助的な役割
これらは、“一気に吸い込む”というスピード重視の食べ方をするため、
がっしり噛むよりも、「つかまえて逃がさない」工夫が進化しています。
のどで砕いて食べる「咽頭歯タイプ」:第二のかみ砕き機
咽頭歯(いんとうし)を使う魚は、口ではつかむだけ・のどで本格的に噛むというユニークなスタイル。
代表例:
- コイ科(コイ・フナ・キンギョなど):口は柔らかく、のどで植物や粒状のエサをすり潰す
- ベラ科の魚(キュウセンなど):サンゴの隙間の小動物をつかみ、のどで噛み砕く
- ハゼ類:口が小さくても、咽頭歯でカニなど硬いものも処理可能
これらの魚は、咽頭にまるで石臼のような歯を持ち、しっかりとすり潰す能力に長けています。
そのため、口が小さくても**しっかり食べ物を処理できる“機能的な口”**を持っているのです。
歯の形=食べ方のカギ!
魚の歯は、以下のようにその魚の“食べ方”に直結する設計になっています:
食べ方 | 歯の特徴 | 代表的な魚 |
---|---|---|
噛む | 鋭い・臼歯状の歯 | ピラニア、イシダイ、マダイ |
吸う | 小さい・細かい歯 | コイ、アジ、サバ |
のどで砕く | 咽頭歯が発達 | フナ、ハゼ、ベラ |
こうして見てみると、魚の口の中は「食べるための道具箱」そのもの。
必要な歯が、必要な場所に、必要な形で配置されているのです。
次章では、こうした歯の違いが、魚のくらし方や性格、さらには釣りや観察のポイントにもどう関わっているのかをご紹介します!
魚の口をのぞけば、その魚の“暮らしぶり”が見えてくるかもしれません。
第3章 歯からわかる!魚のくらしと性格の意外なヒント

魚の歯の形や位置は、単なる「食べ方」の違いにとどまりません。
実は、その魚がどこで暮らし、何を食べ、どんな行動をとるのか――
つまり魚の「性格」や「生活スタイル」までも、歯から見えてくるのです。
歯が鋭い魚=攻撃的?動きもすばやいタイプ
ピラニアやカマス、シイラなど、鋭い歯を持つ魚は捕食者タイプに多く見られます。
彼らの特徴は:
- 動きがすばやく、反応が鋭い
- 目が前向きについていて、獲物を狙いやすい
- 周囲の刺激にも敏感に反応する傾向
つまり、「自分から攻める」アグレッシブな魚には、しっかりした歯が不可欠というわけです。
そのため、釣りでは口元を切られやすい魚=歯が鋭い魚という覚え方もあります。
歯が控えめな魚=おっとり草食系?群れを好む傾向も
一方、コイやフナのような咽頭歯だけを持つ魚は、比較的穏やかな性格の種が多いです。
- 複数で群れて行動することが多い
- 水草や小さなエサを地道に探して食べる
- 環境変化にはやや敏感で、ストレスを感じやすい
このような魚は、歯で噛むというより、「ゆっくり味わってすり潰す」タイプ。
結果的に争いを避け、協調性を大切にする生活スタイルが育まれているのかもしれません。
歯が口以外にある魚=工夫派?環境への適応が上手
咽頭歯を使う魚たちは、口が小さくてもしっかり食べられるという「二段構え」の構造を持っています。
これは、限られたエサを無駄なく処理するための“効率のよい戦略”です。
- 小さな甲殻類や貝殻も砕ける → 食べられるエサの幅が広い
- 水草や微細な餌も処理できる → 水質や環境変化にも強い
つまり、こうした魚たちは、“工夫しながら生きるタイプ”といえるでしょう。
歯は“その魚らしさ”を物語る
魚の歯をじっくり観察すると、
- その魚がどんなエサを食べているのか
- どうやって食べるのか
- 素早く動くタイプか、ゆっくり構えるタイプか
- 単独行動派か、群れで暮らすか
といった、「その魚らしさ」=個性や暮らしぶりが見えてきます。
観察するポイントとしては:
- 口の形(下向き/前向き/上向き)
- 歯の位置(前/奥/咽頭)
- 歯の形(鋭い/平たい/くっついている)
これらを見比べるだけでも、魚のくらしを想像するヒントになるのです。
次は「おわりに」として、今回の内容をやさしく振り返りながら、
魚の歯の奥深さと、そこから見える“魚とのつきあい方”をまとめてまいります。
おわりに 魚の歯を知ると、観察がもっと面白くなる
魚に歯?と聞いて、ピンとこなかった方も、
今回の記事で魚たちがさまざまな“歯”を使って、工夫しながら暮らしている姿を感じていただけたのではないでしょうか。
- 口の先に並ぶ鋭い歯で、獲物を一撃で仕留める魚
- 小さな歯で水ごと吸い込んで、のどでゆっくりすり潰す魚
- 歯が見えなくても、ちゃんと食べ方に合わせて進化した魚たち
それぞれの魚の歯のかたち・位置・使い方には、
その魚の「性格」や「生活スタイル」、「生き抜くための知恵」がにじみ出ています。
今度、水族館や市場で魚を見かけたときは、
ぜひ「この魚の歯はどこにあるんだろう?」とちょっと想像してみてください。
- あごに鋭い歯があるのか?
- のどに咽頭歯を持っているのか?
- 見えないけれど、どんな風に食べているのか?
そんな目線で魚を見ると、観察や食卓がもっと楽しく、深いものになるはずです。
これからも魚忠ブログでは、魚の魅力や知識をやさしく、そして面白くお届けしてまいります。
また次回の雑学もどうぞお楽しみに!
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